精神科、心療内科で処方するお薬は向精神薬と表記され、向精神薬は抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、抗精神病薬に分類されます。

向精神薬


抗うつ薬(三環系、四環系、SSRI、SNRI、NaSSA)
抗不安薬(ベンゾジアゼピン系が多い)
・睡眠薬(ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系、バルビツール酸系睡眠薬、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬)
・抗精神病薬(定型、非定型)

抗うつ薬、抗精神病薬を長期で使用しても依存性・耐性を生じることはありませんが、抗不安薬、睡眠薬(メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬を除く)を長期で使用すると、依存性・耐性が生じてきます。依存性・耐性が怖いので、抗不安薬、睡眠薬を内服したくないという方は多いです。しかし、一日数時間しか睡眠ができないために毎日、全身倦怠感、頭痛、眠気、集中力・注意力低下を自覚して仕事ができないなどの日常生活への支障がある場合は内服した方が良いと思います。「ストレスでイライラして子供や配偶者に暴力して離婚することになってしまった」「不眠で会社に遅刻、欠勤が続き解雇になってしまった」というケースもありましたので。

抗うつ薬

抑うつ状態とうつ病

 


うつ病、抑うつ状態に使用されるだけでなく、特にSSRIに属するパロキセチンはパニック障害強迫性障害社会不安障害心的外傷後ストレス障害(PTSD)などにも幅広く使用されます。抑うつ状態とは気分の落ち込み、意欲がない状態のことで、大きな失敗をしたときや、ペットの死、失恋したときなどに元気がなくなった状態のことです。うつ病は抑うつ状態のなかでも、モノアミン(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど)が上手に機能しなくなり、ただの抑うつ状態とは違って、嬉しい出来事が起こっても気分が持ち上がることはほとんどありません。

抗不安薬
睡眠薬


不安、焦燥(落ち着きがなく、用もないのに家の中を歩きたくなるなどの症状)、不眠はうつ病、認知症、統合失調症などの精神疾患全般で出現しうる症状です。不安・焦燥・イライラがあれば抗不安薬、不眠があれば睡眠薬を使用します。うつ病は抑うつ気分の他にも不安・焦燥、不眠といった症状が一緒に認められることが多いので、
抗うつ薬と同時に抗不安薬と睡眠薬が処方されることが多いと思います。

抗精神病薬


統合失調症双極性障害(躁うつ病)で処方することの多い薬です。定型の抗精神病薬というのは統合失調症に対して初期に開発された薬のことで、副作用をなるべく少ないようにして開発されたものが非定型タイプの抗精神病薬になります。現在、処方されている抗精神病薬としては90%以上は非定型タイプだと思います。
全体的な薬の作用として幻覚(幻視、幻聴)・妄想の治療、鎮静させる作用もあります。