全般性不安障害
ケース1
動悸を感じた、お腹が痛い→大きな病気があったらどうしよう→様々な科を受診して異常がないと言われても、何かあるはずだと他の診療所を受診し続けドクターショッピングを繰り返す。
ケース2
社会情勢が不安定になる→明日、ミサイルが降ってきたらどうしよう→心配でほとんど眠れなかった。
不安、心配が過剰で日常生活に支障が出ている人は全般性不安障害かもしれません。不安障害のなかにはパニック障害、社会不安障害、全般性不安障害があります。パニック障害や社会不安障害は症状がはっきりしているので、本人も病気だと認識して受診機会が得られやすいのに対して、全般性不安障害はただの神経質な人ということで受診が遅れることが多い疾患です。
診断
A.多数の出来事または活動についての過剰な不安と心配が、起こる日のほうが起こらない日より多い状態が少なくとも6カ月にわたる。
B.その人はその心配を抑制することが難しいと感じている。
C.その不安および心配は以下の6つの症状のうち3つを伴っている。
(1)落ち着きのなさ、緊張感、または神経の高ぶり
(2)疲労しやすいこと
(3)集中困難、または心が空白になること
(4)易怒性
(5)筋肉の緊張
(6)睡眠障害
D.その不安、心配、または身体症状が臨床的に意味のある苦痛、日常生活に支障を来している。
E.その障害は物質(乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。
F.その障害は他の精神疾患ではうまく説明されない。
治療
薬物療法と精神療法を併用して治療していきます。
薬物療法
不安の症状を軽減するためにSSRI系の抗うつ薬(パロキセチンなど)を使用しますが、即効性がないために抗不安薬を併用します。抗不安薬は作用が強すぎると副作用として日中の眠気を生じてしまうので、「ちゃんと不安が軽減されているか、眠気がでていないか」を確認しながら、抗不安薬の種類と量を決定します。寝る前に心配事、ネガティブな事を考えて不眠症状が出ている人には睡眠薬も使用します。
精神療法
ケース1の場合でしたら「健康な人でも問題のない不整脈は一日のうち何回か起こるものだし、全く不整脈のない人なんていません。お腹が痛くて大変な病気だとしたら簡単な検査でも異常が出てきていいでしょう?人間の体も消耗品だから、今後も具合が悪いところは少しずつ増えていきますよ」などと本人が過剰な不安、心配にならないように認知を修正していき、その人がドクターショッピングをしなくなるように行動を変化させていきます。