クセ(依存)にならない睡眠薬

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クセ(依存)にならない睡眠薬

神経質な人ほど「眠れないので相談に来ました。でも薬は使いたくありません。クセになるのが嫌です。」と言います。一般的な睡眠薬は依存・耐性があるのは事実です。しかし私なら必要な睡眠薬は内服します。ショートスリーパーでなければ通常の人であれば7時間/日の睡眠が必要です。6時間/日の睡眠であれば昼間の眠気を感じることはありませんが、7時間/日睡眠の人よりも仕事等のパフォーマンスが低下することが分かっております。また、一番長生きするのは7時間/日睡眠でそれ以下でもそれ以上でもないという研究データもあります。そして、3~4時間/日ほどの睡眠不足の人というのは飲酒運転の人と同等の交通事故率を発生させているとの報告があります。睡眠不足は免疫力を低下させるので病気にもなりやすくなります。

こういった様々な理由で睡眠不足になるくらいならクセになろうがなるまいが睡眠薬は必要というのが私の考えになりますが、どうしても睡眠薬は使用したくないという人にクセにならないお薬を紹介しておきます。

ロゼレム

ロゼレム(一般名:ラメルテオン)はメラトニン受容体作動薬に分類され、体内時計のリズムを整えているメラトニンというホルモンに働きかけることで睡眠を促すお薬です。

メラトニンとは?

メラトニンは、脳内の松果体において生合成されるホルモンで、催眠作用を持っています。
網膜から入った外界の光刺激は、体内時計(生物時計・視交叉上核)を経て松果体に達します。明るい光によってメラトニンの分泌は抑制されるため、日中にはメラトニン分泌が低く、夜間に分泌量が十数倍に増加する明瞭な日内変動が生じます。
ただし昼夜の区別のない環境(窓のない密室内など)でも、体内時計からの神経出力によって昼高夜低の日内変動は続きます。逆に強い照明(1000ルクス、コンビニの店内など)を浴びれば、夜間であってもメラトニン分泌量は低下します。すなわちメラトニンは体内時計と環境光の両方から調節を受けています。

メラトニンは欧米では睡眠薬としてドラッグストアなどで販売されており、日本でもインターネットで並行輸入が可能です。しかし、一般的にメラトニンの催眠作用は弱く、寝る前に服用しても寝つきは若干良くなるものの、不眠症の改善効果は乏しいことが分かっています。

ベルソムラ

ベルソムラ(一般名:スボレキサント)は、オレキシン受容体拮抗薬に分類され、覚醒の維持に重要な物質であるオレキシンの働きをブロックすることで、睡眠状態を維持する薬です。オレキシンは生理的に変動している物質で、日中は増加して夜間は減少しています。ベルソムラは睡眠と覚醒に関係するオレキシン受容体に働くことで、睡眠状態を維持します。

上記の2種類が医療機関で処方できるクセにならないタイプの睡眠薬になります。これら薬ではなく食品に分類される眠気を促すものとしては過去に紹介したグリシン・グリナがあります。

過去記事:グリシン・グリナ・グッドナイト 睡眠効果 副作用 まとめ

ロゼレムは睡眠導入目的に処方され、ベルソムラは睡眠を維持する目的で処方されることが多いです。しかし、俗にいうクセになるタイプの一般的な睡眠薬より作用は弱いため、序盤に申し上げた理由により一番大切なことは「クセになる、ならないではなく7時間/日程度の良質な睡眠をとる」ことでしょう。