Fisher(フィッシャー)症候群で入院しました

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Fisher(フィッシャー)症候群

フィッシャー症候群って聞いたことありますか?私はこの病気になって入院していたことがあります。もとの原因がカンピロバクターによる食中毒だったので、みなさんもお気をつけてください。

私の症状の経過

大学病院の精神科の医局に入局してから2,3年目くらいだったと思いますが、ある日、視界がぼやけるようになって疲れてるのかなあとその日は眠りました。その翌日はものがだぶって見える複視という症状が出てきました。

こんな感じにものや人が重なって見えるので、歩くのも大変な訳です。
後輩が「眼科に受診したほうがいいですよ。知ってる先輩に連絡して外来予約をとっておきますよ。」ということで、眼科を受診することに。
眼科医による診察を受けると「疲労によるものじゃないですかね。経過観察してください。」とのことでした。

しかし、翌日になるとだぶって見えるものの距離が更に乖離していて症状が悪化しています。コレはまずいと思って、思い返すと1週間前に39℃の発熱+水様便の症状が数日続いていたことがありました。これが先行感染となっていたかもしれない。また、最悪は頭蓋内の腫瘍によって動眼神経などの眼球を動かす神経の圧迫で複視が出現しているのかもと思い神経内科の先輩に連絡して診察してもらいました。

神経内科医「すぐに今日から入院して検査入院にしよう。」ということで即入院に。

採血検査、髄液検査、頭部MRI、大便検査の結果からフィッシャー症候群の診断となりました。血液検査からは血清ガングリオシドGQIb IgG抗体が検出され、大便からはカンピロバクターが検出されました。

カンピロバクターの食中毒を契機に発症したということですね。何を食べたのか全然覚えてないけど、何かの生焼けの肉を食べたのでしょうね。

治療としては神経内科の先輩に「γグロブリン療法とステロイドパルス療法どっちがいい?好きな方でいいよ。どっちでも予後はそんなに変わらないから」と説明されて、私はステロイドパルス療法を選択。

ステロイドを大量に抹消点滴で落としてもらいましたが、不眠症状が強く出て数時間/日も眠れない日が続いてましたね。ナースコール押して「眠れません」と伝えれば不眠時の睡眠薬をくれたと思うのですが、カゲで「精神科の先生が不眠時の薬が欲しいんだって」と看護師にクスクスされたくなかったので、不眠を我慢してました。夜間の見回りの度に寝たふりをするのが大変でしたよ。

1カ月以内に退院となりましたが、全然複視は改善してませんでした。「あとは自然に回復してくるから待ってなよ」と先輩からは言われました。

その後は1カ月かけてゆっくりと複視症状は改善しましたが、現在でも複視の症状が若干残っています。


カンピロバクター

ウシやヒツジなどの家畜で流産や腸炎を起こす菌で、1970年代に入りヒトにも腸炎を起こすことが判明し、我が国においても1982年には食品衛生法で厚生省に報告する食中毒事件票の「病因物質の種別」の中に加えられ、食中毒起因菌として指定されました。

カンピロバクター食中毒症状

発熱、腹痛、下痢、血便を伴う腸炎症状がみられ、2-5日で回復することが多いです。まれに虫垂炎や腹膜炎等の下痢症以外の症状がみられることもあります。菌が体内に侵入してから発症するまでの潜伏期間が比較的長く、2-7日間かかるのも特徴です。

カンピロバクター感染経路

家畜(牛、豚、鶏)、ペット(犬、猫)などの腸管内にもカンピロバクターは存在し、これらの動物の排泄物により汚染された食品や水を介して人に感染します。鶏肉などの肉類は本菌により汚染されている可能性も高く、そのため、これらの食品はカンピロバクター食中毒の主要な原因食品にもなっています。また、この菌は低温に強くて4℃でも長期間生存しますので、冷蔵庫の過信は禁物です。



フィッシャー症候群

1956年にMiller Fisherが急性に外眼筋麻痺、運動失調、腱反射消失を呈し数週間で症状が自然回復した症例を3例報告したところから始まりました。

フィッシャー症候群はギランバレー症候群の亜型に位置づけされていて、ウイルスや微生物による感染症を契機に発症することがあります。フィッシャー症候群はメジャーなものでないので、詳しく勉強した記憶はなかったのですが、うっすらと覚えていて神経内科を受診でき早期に診断に至りました。

私の場合は運動失調と腱反射消失はなかったので、外眼筋麻痺による複視のみでしたね。回復するまでも2~3カ月かかりました。また、自然経過による予後は非常に良好の疾患ということでしたが、私は軽度の後遺症を残しています。
自己免疫疾患なので治療は免疫治療になりますが、自然経過による回復との有意な差が得られなかったという報告があります。これは治療の効果ないというよりも、もとから自然経過の回復が良好な疾患であるため有意差が得られなかったとされています。