住みやすいのは中気密・高断熱
多くのハウスメーカー、工務店がこぞって「高気密・高断熱」の家をアピールしています。もともと高気密・高断熱は省エネルギーの目標を達成するための手段として生まれてきたもので、家を造る側のアピール文言です。実際に生活する側にとっては「中気密・高断熱」の方が合理的なので一緒に確認していきましょう。
もくじ
昔の日本家屋
- 日本の高温多湿の気候に合わせて、建具または天井と壁の接続部分に隙間を持たせ、風通しを良くすることで家全体の通気性を高め、カビや湿気などに対応していました。
- 冬は寒風が通り抜けて寒い、隙間風が吹いて冷暖房が効きにくい欠点がありました。
高気密・高断熱
高気密・高断熱住宅はもともと寒さの厳しい北海道から東北を経て南へ普及してきました。断熱材をすっぽりと家にかぶせるように張り巡らせ、空気が逃げやすい窓などを小さくしたり2重窓にすることで、外から寒い空気が入ってこないように、そして中であったかくした空気を外に出さないように施した住宅のことです。北海道ほど寒さが厳しくない関東でも果たして高気密が必要なのでしょうか?
高気密は英語でいうと、エアタイトネスとなり完全に密封されているという意味で一言で表現すると「隙間がなくて、窓の小さな家」ということになります。
- 本州地域の一般住宅の窓面積は、床面積当たり25~30%
- 北海道の高気密・高断熱住宅のの窓面積は、床面積当たり15%~17%
高気密にするほど寒冷に強くなるし、室内の換気をすることが困難となってきます。そこで高気密にすることのメリット・デメリットをまとめます。
メリット
- 寒冷に強く室内がもともと暖かいので少しの暖房で温まりやすい
- 暖房の設定温度をそれほど上げずに済むので光熱費が安い
- ヒートショックの心配が少ない
- 遮音性が高い
デメリット
- 風通しが悪く、湿気がこもり夏暑くなる
- 湿気がこもりやすいので、結露ができやすく、カビが発生しやすい
- 建材から出るホルムアルデヒドなどの物質が高気密のために外に排出されず、シックハウス症候群になる
上記のデメリットを防ぐためには十分な換気方法が必要となります。計画換気(機械による換気)で、湿気・有害物質を建物から追い出すという方法です。しかし、そうすることで冬には湿気がなくなりすぎて乾燥しすぎる【過乾燥】になり肌荒れ、アトピー、風邪の原因となります。
湿気を家から追い出すのではなく、湿気が多い時は吸い込み、乾燥してきたら吐き出す。この【調湿】が日本の気候風土には合っており、住宅建材事態が呼吸をする自然素材を使用していることも大事な要素としてあげられます。
以上のことから北海道、北陸などの厳しい冬がある地域では高気密・高断熱でかつ、計画換気・調湿ができる家が理想。それ以外の地域では中気密・高断熱の家が理想といえるのではないでしょうか。