インフルエンザワクチン予防接種 まとめ

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当院でのインフルエンザ予防接種は11月15日で予約締切となりますが、インフルエンザワクチンの知識をまとめておきますの参考にしてみてください。

以下は北里第一三共ワクチン株式会社さま(http://www.daiichisankyo-kv.co.jp/knowledge/faq/influenza.html)より抜粋したものです。

ワクチン用のウイルス株の決め方

WHOや日本の国立感染症研究所は世界各地でインフルエンザウイルスの定点観測を行っており、分離されたウイルスの抗原性を調べてその年の流行株を予測しています。これらの流行予測株の中から増殖性、免疫原性などが検討され、血清疫学データとあわせてその年のワクチン候補株が選ばれ、厚生労働省により最終的に決定されます。1978年以降、A/ソ連(H1N1)、A/香港(H3N2)、B型の最低3株がインフルエンザワクチンの中に入っており、2010年からは、従来のソ連型に替えて2009年に大流行したH1N1pdm株を使用しています。

ワクチンの効果的な接種時期

一般的には効果的な接種時期は、流行期が通常12月から翌3月頃ですので、これに備えて12月までには接種が終了するような接種計画を組むことをおすすめします。

インフルエンザワクチンの予防効果

インフルエンザワクチンの有効性については以前から問題にされてきましたが、ワクチン株と流行株が一致したときの有効性は70~90%といわれています。これは健康成人で調べられたものであり、型別にみるとA型の有効性は80%前後で、B型は一般的にA型より低く50%前後と報告されています。

一方、1歳以上6歳未満の発病阻止効果は、約30%前後とされており、このワクチンは社会における流行阻止により、接種を受けた個人ないしは家族など身近なところでのメリットを考えることになります。

予想していたインフルエンザと型が外れてしまっていても、予防の有効性は50%と言われております。また1回目のインフルエンザワクチンを接種後、2~4週間後に2回目のワクチンを接種した場合は予防効果は95%前後になると想定されています。

マスク、手洗いの励行によりインフルエンザを防げますか?

インフルエンザは、くしゃみ、咳により空気中に放出されたウイルス粒子を鼻腔中に吸い込むことにより感染します。インフルエンザウイルスは直径約100nmの小さな粒子で、ときには1,000nm程の長糸状になります。いずれもマスク、ガーゼの隙間をくぐり抜けてしまい、マスクでは感染を防止することは不可能です。

喉の粘膜に吸着したウイルスはすぐに細胞に侵入するため、うがいは感染したウイルスを流すためにはあまり有効とは言えません。手洗いは付着したウイルスを洗い流し、体内への侵入を防ぐためには有効と考えられます。

インフルエンザの合併症

インフルエンザは今まで単なる呼吸器ウイルス感染症と考えられてきました。一方、乳幼児の場合では以前から中枢神経系合併症として脳症、脳炎及びライ症候群とインフルエンザウイルス感染との関連が注目されていました。近年、遺伝子診断の進歩によりこうした患者の髄液からインフルエンザ遺伝子が検出され、最近ではインフルエンザは全身感染症であるという認識が強まってきました。また、ウイルス性の気管支炎や肺炎だけではなく、細菌の二次感染による肺炎を起こし、インフルエンザ感染症の主な死亡原因となっています。さらに、クループ、気管支喘息の誘発等の合併症も起こします。また、回復期には筋肉炎の合併症を起こしますが、通常は1週間程度で軽快します。しかしながら、重症化すると横紋筋融解による尿毒症を発することが知られています。心筋炎、乳児突然死症候群との関連も疑われています。

インフルエンザウイルス感染症自体で消化器症状として嘔吐、下痢、食欲不振の症状を呈することがあります。インフルエンザウイルスが直接侵襲する可能性もありますが、インフルエンザの流行時期は冬場であり、この時期はロタウイルス感染症の流行期でもありますので、合併症例の可能性もあります。

【インフルエンザの合併症】

呼吸器: 中耳炎、副鼻腔炎、クループ、気管支炎、肺炎
循環器: 心筋炎、不整脈、突然死
筋組織: 筋炎、ミオグロビン尿症(腎不全)
神経: 熱性けいれん、脳炎、急性壊死性脳症、ギラン・バレー症候群、ライ症候群

インフルエンザの脳症

インフルエンザに罹りますと急激な発熱、咳嗽、咽頭痛、頭痛、悪寒等の症状を呈して通常は一週間ほどで軽快します。しかし小さなお子さんがインフルエンザに罹った時、脳症、脳炎、ライ症候群を合併することが知られています。

インフルエンザ脳症による死亡例が新聞等で報道されクローズアップされましたが、こうした重篤な中枢神経合併症は近年になって特に増加したのではなく、インフルエンザの流行した年には発生していたのではないかと考えられるようになってきました。以前は、髄液や剖検脳組織からインフルエンザウイルスを分離した報告例もありますが、こうした検体から常にウイルスを分離することは困難であり、原因を確定することができませんでした。

遺伝子増幅(PCR)法と呼ばれる検査方法によりウイルス遺伝子を検出できるようになり、従来、原因不明であった中枢神経疾患でインフルエンザウイルス遺伝子が検出され、これらがインフルエンザの合併症である可能性の高いことが解ってきました。

この脳症が起きるときには、インフルエンザの初期症状の出現から意識障害に至るまでの期間が非常に短く、嘔吐、けいれんが認められます。頭部CTスキャンでは、脳浮腫を認め、脳幹部に低吸収域が認められる急性壊死性脳症をおもわせる例が多く認められます。

致命率は高く、重篤な場合には症状が急速に悪化しますので、治療するのは困難です。こうした症例の殆どはインフルエンザワクチンの接種を受けていない幼児に認められますので、ワクチンによる重症化の予防という個人防衛の観点からワクチンの効果を見直す必要があると思われます。

インフルエンザにかかって、高熱が出た際に使用する解熱鎮痛剤の成分の中でも、非ステロイド系解熱鎮痛剤とインフルエンザ脳炎・脳症との関連性が指摘されているため、解熱鎮痛剤は、解熱鎮痛剤は、カロナールやアンピパ座薬などのアセトアミノフェンの薬の使用が推奨されています。

まとめ

  • インフルエンザワクチンは11月~12月に接種しよう。
  • 予想されていた型が外れたとしても予防効果は50%ある。
  • 予防接種してマスク・うがい・手洗いを徹底していても、感染者に接触すれば感染する可能性がある。
  • インフルエンザが疑われた際は使用する解熱剤に注意しよう。脳炎、脳症を誘発しないようにカロナールやアンピパ座薬などのアセトアミノフェンの薬を選択しよう。
  • 感染したら早期に医療機関を受診して48時間以内にインフルエンザの増殖をおさえるタミフル・イナビル・リレンザなどの抗インフルエンザ薬を処方してもらう。