軽度認知障害(MCI)を放置すると認知症に進行してしまう?

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軽度認知障害とは

認知症とは正常に発達した認知機能が後天的に低下して日常生活に支障を来した状態のことをいいますが、軽度認知障害(MCI=Mild Cognitive Impairment)とは認知機能は低下しているけど、日常生活に支障を来していない状態のことを指します。MCIと診断された人のうち1年でおよそ10%の人が認知症(アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症)に進行するので、5年後にはおよそ40%の人が認知症に進行するといわれています。厚生労働省は平成24年に全国の65歳以上の高齢者のうち13%の400万人がMCIの状態であると推測しています。

診断基準

A.1つ以上の認知領域(複雑性注意,実行機能,学習および記憶,言語,知覚ー運動,社会的認知)において以前の行為水準から軽度の認知の低下があるという証拠が以下に基づいている。
(1)本人,本人をよく知る情報提供者による軽度の認知機能の低下があったという懸念
(2)可能であれば標準化された神経心理学的検査に記録された認知行為の軽度の障害

B.毎日の活動において認知欠損が自立を阻害しない。

C.その認知欠損はせん妄の状況でのみ起こるものではない。

D.その認知欠損は他の精神疾患によってうまく説明されない。

早期発見の方法

本人、本人をよく知る家族が医療機関を受診し「以前できていたはずなのに、どのようなことができなくなってきたのかというエピソード」があるのかを医師に伝えて頂き、認知機能テストを行い総合的に判断していきます。またアミロイドβという異常な蛋白質が20年以上かけて脳内に蓄積していくと、アルツハイマー型認知症を発症するという説が有力とされていますが、そのアミロイドβが蓄積していないか血液検査で推測する検査もあります。

MCIを早期発見する血液検査

全国各地にあるG-TAC提携施設である医療機関を受診し、採血検査で以下の3つのたんぱく質を調べます。
1.アミロイドβを脳から髄液中に排出するたんぱく質
2.アミロイドβを食べて処理するたんぱく質
3.アミロイドβにくっついて毒性を弱めるたんぱく質

血液中の特定のタンパク質を調べることにより、アルツハイマー型認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)のリスクを、統計学的に確率を示すものです。早期に発見し、診断を受けるためのスクリーニング検査ですので、本検査で“リスクが高い”と判定された方は、専門医の病院で2次検査を受けることをおすすめします。

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MCIと診断されたら認知症にならないための予防法は?

アルツハイマー型認知症の治療薬をMCIの段階で使用することには賛否両論がありますので、アミロイドβを蓄積させないように睡眠、食事、運動の生活習慣の改善に心がけましょう。どのように改善するかはアルツハイマー病の記事を参考にしてください。脳血管性認知症の予防には脳出血、脳梗塞を予防することが大切で、高血圧症、高脂血症、高コレステロール血症にならないようにこちらも睡眠、食事、運動の生活習慣の見直しが大切になります。

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