グリシン・グリナ・グッドナイト 睡眠効果 副作用 まとめ

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グリシン

「夜眠れないんですけど、薬は飲みたくないんです。新聞でグリナっていうのを見たんですけどコレって効果ありますか?」不眠症で困って外来に受診されるのですが、睡眠薬は使いたくないという人は結構いらっしゃるので今回はグリシンについて徹底まとめしていきます。

グリシンとは

グリシン(glycine)は動物性たんぱく質に含まれているアミノ酸の一種のことで、高たんぱく質の食品であるえび・うに・ほたてなどの魚介類や牛肉・豚肉・鶏肉などの肉類、アーモンドなどの豆類にはグリシンがたくさん含まれています。人間の体は水分が60%、糖質・脂質が20%、たんぱく質が20%で構成されていて、そのたんぱく質は体内で作ることができない必須アミノ酸と体内で作ることができる非必須アミノ酸に分類されます。グリシンは非必須アミノ酸なので、私たちの体のなかで作られていて体内に広く存在しています。皮膚の原材料であったり、運動などの機能、神経伝達物質の一つとしても働いています。非必須アミノ酸は体内でつくられるので食事やサプリメントで摂取しなくてはならない必須アミノ酸のように気にする必要はないのでは?と思うかもしれませんが、不足する場合もありますし大切な働きをするものが多いため食品からも摂取を心がける必要があります。

睡眠改善効果

グリシンに睡眠改善効果があるということは2002年に偶然、発見されました。味の素(AJINOMOTO.)でアミノ酸の効能を確認するための社内試験に参加していた社員が、本来は朝・夕に2回/日内服するものを夜にまとめて飲んでいました。この研究員は睡眠状態が良くなくて日中の眠気、だるさを自覚されていたのですが、試験中は日中いきいきとしていることに妻が気づき、その試験薬がグリシンだったのです。研究員本人が検証を続けると熟睡した感覚や疲労感の軽減に再現性があり、研究が本格化されました。その偶然の発見から3年経った2005年8月10日に味の素社より「グリナ」が発売されました。2007年の第32回日本睡眠学会ではグリシンをラットに摂取させると体表面の血流が増加することによって、深部体温を低下させることができると発表されました。

深部体温と睡眠の関係

赤ちゃんが眠っているとき手が温かくなりますよね?これは体の表面から熱を放散させ、深部体温を低下させているのです。深部体温は体の内部体温のことで日中は高くて、夜は低くなることで眠気が出てきます。深部体温が下がりきらないと睡眠の質が低下して、熟睡感が得られにくくなってしまいます。入眠前の深部体温を低下させることで眠気を催すことができます。夕方あたりに軽い運動をする(ハードだと交感神経が優位になり興奮状態が続く)、40℃で入浴する(38℃以下だと深部体温が上がらない、42℃以上だと交感神経が優位になってしまう)・軽いストレッチをするなどして就寝1時間前の深部体温を上げておくと良いとされています。日常生活でこういった行動の調整が難しい場合はグリシン含有サプリメントを眠前に内服することで深部体温を低下させて、睡眠の質の改善が期待できますという理屈になります。

グリシンを含むサプリメント

味の素(AJINOMOTO)発売 グリナ

ファイン(FINE JAPAN)発売 グリシン・プレミアム 

ファインより2014年4月14日に発売されました。1包あたりにグリシン450mgとグリナより非常に少ないですが、そのほかにGABA400mg、L-トリプトファン50mg、L-テアニン50mgと炭水化物2003mgが含まれていて、熱量は12.3kcalになっています。グリナ同様に1日1包内服します。グリシン・プレミアムは機能性表示食品ではなく、「栄養補助食品」になります。

(FINE JAPAN)発売 グリシン3000&テアニン

ファインより2017年2月23日に発売されました。1包あたりにグリシン3000mgとL-テアニン200mgと炭水化物70mgが含まれていて、熱量は13kcalになっています。1日1包内服します。グリシン3000&テアニンも機能性表示食品ではなく、「栄養補助食品」になります。

fine base発売 GOOD Night(グッドナイト)27000

機能性補助食品とは

事業者の責任において販売前に安全性と機能の科学的根拠に関する情報を消費者庁長官に届け出を行った食品のことです。ただし、特定保健用食品(トクホ)とは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません。

栄養補助食品とは

栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品といった表示の食品は一般食品として扱われ機能性の表示ができません。

副作用

グリシンによる副作用をネット検索すると下痢、嘔吐、呼吸障害の中毒症状などがたくさん出てきます。アルコールなんて少し多めに飲むだけでも、下痢と嘔吐の症状が出てきます。グリシンにおいては3,000,000mgくらいの極端な過剰摂取すると中毒症状が出るかもしれませんが、グリシンを多く含まれる海産物や肉類には食品100gあたりにグリシンが2000mg含まれるだけです。食事でたくさんのグリシンを摂取して眠前にグリシン3000mg内服したとしても全く極端な過剰摂取にはなりません。風邪薬でも副作用がありますので、医薬品や医薬部外品に比べればグリシンを含むサプリメントは食品というだけあって副作用はなしと言っていいと思います。

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まとめ

  • 夕方に軽い運動をすることや就寝1時間前に40℃のお湯に10分以上つかることで深部体温を上げると、就寝時に深部体温が下がってきて睡眠の質を向上することができる。
  • 上記を実行するのは難しいし、眠前にグリシンの豊富な食品を摂取することもしたくないという人はサプリメントを眠前(ベッドに入る1時間前が良い)に内服すると体表面の血流が増えて、深部体温が低下して睡眠の質が向上する。
  • サプリメント内服でグリシンの過剰摂取による副作用はなし。
  • グリシン含有サプリメント内服による入眠作用は睡眠薬に劣るけど、睡眠薬に抵抗がある人は試してみる価値がある。
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